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安保訴訟棄却、プロの法律家に聞いてみた

☆「訴え自体が不適法」 安保関連法廃止訴えた原告に最高裁
 東京都在住の男性が安全保障関連法の廃止を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は、原告の上告を棄却する決定をした。「訴え自体が不適法」として内容を審理せずに訴えを却下した1、2審判決が確定した。決定は14日付。昨年9月に成立した安保法に関する訴訟の判決が最高裁で確定したのが明らかになったのは初めて。
 1審東京地裁は、「審理の対象になるものではなく、訴えを提起できない」として訴えを却下。2審東京高裁も原告側の控訴を退けた。
http://www.sankei.com/affairs/news/160415/afr1604150071-n1.html

(解説)

先日、プロの法律家と話す機会があったので、引用事件の敗因は何か探ってみた。
その方が言うには、原告(上告人)が、具体的にどのような被害があったのか、立証できなかったのではないか?と述べていた。
以下は、私の意見です。

(1)安保法案の廃止を求める理由の提示
(2)1の理由として原告(上告人)が、どのような被害を受けているかを立証
(3)上記ふたつを結ぶ因果関係の立証
(4)憲法違反、法律違反の箇所と理由の立証

1〜4を上手く立証できなかった可能性があると思う。
もし、この手の訴訟を考えているのであれば、事前によくシュミレーションをして、理論構成を練った方がいいと思います。
当事者が、審理料を納付しているにも関わらず、最高裁がとあり合わないのは良くありませんが、受ける側も相手をうならせる法廷戦術が必要かも知れません。

ただし、原告(上告人)ばかりが、悪いとはいえない。
なぜなら、上告状を却下するのは、控訴審を担当した裁判官になるが、本件の場合、控訴審以降、最高裁まで上告状があがっている。
つまり控訴審の裁判官は、上告状を棄却する理由をみつけることが出来ず、最高裁にあげて、最高裁の裁判官が棄却する形になっている。

最高裁の仕事があふれてしまわない様に、裁判官の裁量で、上告状を棄却していい決まりになっている。
多くの場合、控訴審の裁判官が、切り捨ててしまう。
上告状には、憲法違反、法律違反、などを中心に理論構成がなされるが、控訴審の裁判官が独断で切り捨てなかったことを考えると、それなりの理論構成が示されていたと言うべきである。

ただ、自分が受けたとする被害(精神的苦痛)と安保との因果関係を立証するのは、非常に難しいことである。

同様の難しさがあるのが、朝日新聞訴訟であると思う。
朝日の記事から、読者が受けた損益を立証するのは、非常に難しい。
記事と損益の因果関係を立証し、思わず裁判官をうならせるように記載するのは至難の業と言える。

じゃあ、やはり裁判は難しいのですね・・と尻込みばかりしていると、一本筋が通らないこともあるので、知恵を絞り正論を通し、間違いを正す試みは必要だと思う。